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コラム

COLUMN
                 
2020.10.20
廃棄物の持ち込み

不法投棄をおこなった際の罰則とは。産廃の正しい処分方法

産業廃棄物の処理を調べると必ず「不法投棄」という言葉が出てきます。不法投棄は犯罪であり、懲役や罰金といった大きな罰則があるにもかかわらず、不法投棄はなくなりません。
平成30年に新たに判明した不法投棄は155件、不法投棄量は15.7万トンにも上ります。
では、不法投棄を行うと具体的にどのような罰則があり、過去にはどのような事例があるのでしょうか。
不法投棄の「原因」についても解説していきます。ぜひ最後までご一読下さい。

産業廃棄物を不法投棄した場合に発生する罰則の具体例

法人が業務に関連する産業廃棄物を不法投棄した場合

法人が業務上で関わる産業廃棄物を不法投棄した場合「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第32条第1号」により、法人に対して3億円以下の罰金に処されます。

不法投棄を目的として廃棄物の収集・運搬を行った場合

不法投棄を目的として廃棄物の収集や運搬を行った場合「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第26条第6項」により、3年以下の懲役・300万円以下の罰金または併科の罰則が設けられています。

道路に不法投棄し交通に支障を及ぼす恐れを生じさせた場合

廃棄物を道路に投棄し交通に支障を及ぼす恐れを生じさせた場合は道路法に反することがあります。
罰則は1年以下の懲役・50万円以下の罰金です。

過去の産業廃棄物の不法投棄事例と刑罰

香川県豊島産業廃棄物不法投棄事件

瀬戸内海東部に位置する面積16.4k㎡の小島に、1970年代から廃油や汚泥、廃プラスチック等、約91万トンが投棄された日本最大の不法投棄事件です。地下水や土壌の汚染に加え、廃棄物を焼却したことによる住民の喘息発症、環境悪化等非常に甚大な被害をもたらしました。
県の監督不十分も論点となり、長期にわたる住民運動が行われました。
排出事業者に課せられた罰則は
・罰金50万円
・懲役10ヶ月(執行猶予5年)
これに加え住民への保証金が数千万円にのぼりました。
排出事業者が倒産してしまったため、現在は県が事後処理を行うこととなりました。撤去に掛かる費用は281億円と非常に高額になっています。

青森・岩手県境産業廃棄物不法投棄事件

青森と胃訳の県境にある原野27ヘクタールに燃え殻、汚泥、ゴミ固形物等82万立方メートルが捨てられた事件です。実際に不法投棄を行った処理業者には罰金2000万円が言い渡されましたがその後破産。
廃棄物の排出事業者にも責任の追及が行われており、追及対象となる業者の総数は1万2000社にのぼっています。豊島事件と併せて日本最大の不法投棄事件です。

山梨県大月市不法投棄事件

大月市の解体工事会社が解体による産業廃棄物11立法メートルを自宅及び農地に不法投棄した事件です。代表者には懲役2年(執行猶予3年)と100万円の罰金、法人には300万円の罰金が言い渡されました。

愛知県西尾市産業廃棄物不法投棄事件

愛知県西尾市の解体工事会社が、同市内のウナギの養殖地跡地に家屋の解体工事で出た木くず等約25トンを埋め立てた事件です。警察は過去1年間に1800トンを不法投棄していたとして立件しました。
代表者を含め5人が逮捕されています。

産業廃棄物は日常的に不法投棄されている?その内容は

部分的に不法投棄をする

近年は産業廃棄物処理票(マニフェスト)が法的に整備され、その提出が日常的に求められています。そこで、事業主に露見しないよう現場から出る産業廃棄物を全て不法投棄するのではなく、一部のみ不法投棄を行って産業廃棄物を減らす方法です。
適正に処分を行った分のマニフェストは発行されますが、マニフェストの枚数が適正かどうかの確認は容易ではないため、余程のことがない限り不正であると気づかれません。
排出事業者、処理業者の倫理の高さが求められます。

制度の抜け道を利用して不法投棄をする

解体業者の場合、解体から中間処理、最終処分まで全てを行える業者であれば、マニフェストの発行義務がありません。そのため、全てにおいて不正に処理をしたとしても気づかれにくいのが現状です。
過去の大規模な不法投棄事件は、処分業者が行っているケースがほとんどです。

材質を偽る

石綿(アスベスト)のように特殊な処理が必要な産業廃棄物であるのにもかかわらず、材質を偽ることにより不法に処分をしてしまうこともあります。中間処理場も共謀していることが多いようです。

なぜ、産業廃棄物の不法投棄は減らないのか?

これには、いくつかの社会的な背景があるとされています。

・産業廃棄物の排出量と比較して、同一県内にある産業廃棄物の処分場が慢性的に不足している
・処理技術の向上による処理費用の増加
・トラック輸送の低価格化により燃料費削減を目的とする不正軽油の利用、その密造に伴う有害廃棄物の発生

特に、処理費用の増加は深刻な問題で、不法投棄を誘引する最も大きな原因だといわれています。
廃棄物処理業の特徴として「売上げ(処分費用)が先に上がり、仕入れ(産業廃棄物)が後で発生する」というものがあります。
特に中間処理業の場合、資金繰りに行き詰まった場合等決算をよく見せようと最終処分先への委託(委託費用)を先延ばしにしようという対応をします。
産業廃棄物が積み上がって置き場がないのに、無理矢理産業廃棄物を受け入れて運転資金を調達することもあるでしょう。
他にも、このような事例が考えられます。
・最終処分先から荷受けの停止や制限がされている
・最終処分先から値上げの提示があった
・人出不足で工場内の作業が滞っている
それでも、売上げを確保するため、これまで通りに受け入れを継続すると、結局在庫の処理が追いつかずパンクし、どうにもならなくなり不法投棄してしまう…といったこともあります。
つまり、意図的にコストダウンをするのではなく、会社を継続させ社員を守るために、小さな手抜きを積み重ねて最終的には大問題へと至ってしまった…そんな「悪意のない」ケースもあります。

このように、現地確認等で経営者や社員に直接会い、人柄や信頼度を見極めても、不法投棄が起こってしまう可能性はあるのです。
特に近年は焼却や埋め立てのコストが高騰しています。念には念を入れて、現場をしっかり確認しておく必要があるでしょう。

まとめ:不法投棄を「しない・させない」意識が必要

法整備により、産業廃棄物の不法投棄は年々減少しつつありますが、完全になくなってはいません。これからも注意して排出事業者・処理業者双方が産業廃棄物の適正な処理を続ける必要があります。
弊社は環境に優しく、適切な産業廃棄物の処分に力を注いでいます。
産業廃棄物業者をお探しなら、是非近畿エコロサービスへお気軽にご相談ください。

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